先日,西日本新聞のネットニュースで,裁判所の更正決定にかかる郵便費用の記事がありました。
要は,裁判所の過誤で民事訴訟の決定の中に誤りがあり,誤りを直す決定(=更正決定)を再度送るので,その分の郵送費用を納めるよう裁判所から連絡があったと。しかしながら,裁判所の過誤で追加費用が発生したのに,それを訴訟当事者に負担させるのはおかしいのではないか,とのことです。
この点について,最高裁事務総局からは,「民事訴訟法の規定により,訴訟当事者が更正を申し立てた場合はその申立人が負担,裁判所が職権で更正を行った場合は原告被告のどちらが支払うかは裁判所が定める。」という回答があったそうです。
法律上はそのとおりなんだと思いますが,同記事では,「裁判所の対応は社会常識に照らすと不可解」とまで言われてしまっています。
しかしながら,この対応の理不尽さは全国の裁判所書記官は皆理解しています。費用を請求する心苦しさは十分感じています。
そのため,古き良き時代には,自腹ないし手元にある切手(=いわゆる闇切手)を貼って更正決定を送付した書記官も少なくなかったと思います(今でこそ管理が厳しくなり,こういうある意味柔軟な対応は出来なくなりましたが・・・。)。
ところで,同記事には,現職裁判官の話として,「疑問に思うのは分かるが,法律で決まっている以上理解を求めるしかない。」というコメントが載っています。
これはどうなんでしょう・・・全くその通りなんですが,その理解を求めようとして,厳しい矢面に立つのは裁判官ではなく常に裁判所書記官です。
こういう法規の不備や実社会に合わない部分は,どんどん裁判所の外から声を上げて変えていくしかないですね。