裁判所書記官の日常その2「正義の裁判所」

裁判所の窓口には毎日いろいろな人がやってきます。日々の窓口対応は裁判所書記官の代表的な業務の一つです。

何かしら悩みや問題を抱えているので裁判所に相談に来るのですが,その中には,裁判所は「正義の味方」又は「弱者の味方」と信じて訪ねてくる方が少なからずいます。

「司法は,多数決原理が働く政治の分野とは異なり,具体的な事件における法適用を通じて,少数者の権利保護を含む法の支配・法による正義を実現することに本質的役割がある。」などと学者は言いますが,そんな小難しい話ではありません。そう信じている方は,常に自分が正義であり自分が弱者なのです。

例えば,自分がアパートの家賃を払っていない事実があったり,借金を返済していない等の事実があったとしても,家を追い出されてしまう自分は「弱者」であり,大企業である金融機関に取り立てをされる自分は「弱者」であり,裁判所は強気をくじく「正義の味方」という構図なのです。

ま,上記の例は極論ですが,一般的にこのような方が窓口に来ると話は簡単には終わりません。
身の上話も含めてある程度話を聞くことは大切ですが,窓口対応をする裁判所書記官として一番重要なのは,裁判所として出来ないものは出来ないと,感情論に押し切られないことが重要です。場合によっては,そういう態度から裁判所は冷たいと言われてしまうこともあります。

裁判所は法による正義を実現する以上,法で決まっていることは過誤なく確実に行う。法にないことはしないできない。一言でいうとそんなところでしょうか。

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