「突然言われても困る。」「いきなり失礼だろ。」
不動産の競売手続が進み,いざ建物を明け渡せという段階になると,このように言ってくる債務者の方がときどきいます。
しかし,突然ということは通常ありません。
抵当権の実行による競売であれば,借り入れをした金融機関から,競売申立て前に,滞納について何度か督促が来ていたはずでしょう。判決等にもとづく競売(強制競売)であれば,訴訟の段階から何度も通知が届いており,いずれこうなることは理解できたはずです。
そういったものをすべて放っておいて対応しなかったため,建物の明け渡しの手続が着々と進み,本当に明け渡しをしなければならなくなったときに慌て始めることになるのです。
競売手続は,手間や時間もかかるし,債権の全額回収も難しいため,債権者としても積極的に行いたい手続ではないことが多いです。そのため,もう少し早い段階で債権者からのアクションに真摯に対応していれば,結果は違った可能性も十分あったでしょう。
ちなみに,裁判所の「競売手続」に似てる手続で,市役所や税務署等が滞納税金を回収するために滞納者の不動産を差し押さえる「公売手続」というものがあります。
市役所等は,いざ不動産の差押え(の登記)をしても,そこから先の売却手続を進めることはなかなかありません。それは,担当部署のノウハウも少ないし,そもそも手間暇がかかり面倒だというのが一番の理由だと思います。
そういう意味からも,税金滞納後は,やはり市町村等からのアクションに真摯に対応することが一番ということになります。