裁判所書記官の日常15「公文書の改ざん」

今年前半,財務省による公文書の改ざんが大きなニュースとなりました。
ところで,裁判所書記官が作成する代表的な公文書としては,裁判期日のたびに作成される期日調書があります。

期日調書には,その裁判期日にどのような手続が行われたかを簡潔にまとめて記載します。裁判所書記官がその職責にもとづいて作成するものですので,当然のことながら,法律上,期日調書には強い証明力が付与されています。

期日調書については,さすがに改ざんという話は聞いたことがないですし,そもそもするだけのメリットもないです。ただ,明白な誤字脱字等を後から「訂正」することは日常茶飯事です。

裁判記録は,事件が終了すると数年間倉庫に保管されますが,保管前に裁判記録のチェックをします。また,控訴や抗告等によって上級庁に裁判記録を送付するときは,送付前に記録にミスがないか入念にチェックがなされます。
その際に,調書に誤字等が発見された場合は,その調書が閲覧・謄写に付されていなければ(=要は外部の目に触れていなければ)訂正(や差し替え)を行います。
それは,ミスに気付かずにそのまま上級庁に送付した場合,上級庁から厳しく指導されることがあるからです。そういう意味では財務省の話とは大きく性質が違うところではあります。

ちなみに,明白な誤字脱字等とは,当事者の氏名の間違い,裁判の年月日の間違い,書証番号の間違いなどのレベルの話です。裁判結果に影響があるような内容の訂正は勿論ありえません。

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