裁判所書記官の日常18「決裁のハンコ」

先日,朝日新聞デジタルに「茨城県庁の決裁事務における電子決裁率がほぼ100%に達した」との記事がありました。
同記事によると,昨年度の同庁での電子決裁率はわずか11・8%だったそうです。IT企業出身の県知事の鶴の一声のようですが,何でもやればできるんですね。

この記事を見て,裁判所の関係者はどう思っているでしょう?裁判所のIT化は飛び切り遅れており,事務局はともかく,裁判部の事務の多くは,依然として紙と印鑑が基本です。勿論,裁判所も,IT化の必要性・有用性は認識していますが,やはり「重要書類は紙」という認識がまだまだ強いですね。

ただ,裁判事務に関しての紙と押印の問題は,そもそも民事訴訟法・同規則から改正しないとだめでしょうね。そもそも,同法では「紙(書面)で提出しなければならない」「押印しなければならない」と定めている書類がほとんどですし,さらに,それら書面のやり取りには「FAXを使用しろ」となっていますから・・・。

ところで,電子決裁の詳細な手続は知りませんが,決裁が今までより形骸化してしまうことはないのでしょうか?もちろん,印鑑を使っていても,よく見もせずにバンバン決裁印を押してくれるなんてのは裁判所でも当たり前にありましたが・・・。

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