裁判所書記官の日常28「期日の変更」

裁判期日の変更は,職権で行うことができます(民事訴訟法93条)。
例えば,大地震が発生すると,被災地の裁判所が軒並み裁判期日の変更をすることがあります。交通機関の状況や余震の可能性等を考えると,当事者の安全上当然の判断だと思います。

ほとんどの場合,こういったやむを得ない状況のときに期日変更はなされますが,その他にも色々な事情で期日変更がされる場合があります。次に記載したものは,みな実際にあったケースです。

1(震災と同様,やむを得ない事情による期日変更)
〇 大雪や事故による交通機関のマヒにより当事者が出頭できない。
〇 代理人弁護士や,本人訴訟の当事者の突然の入院。

2(裁判所の事情による期日変更)
〇 裁判官の親族の不幸による忌引き
〇 判決言渡し期日の変更(延期)
〇 裁判所のミスによる単純なダブルブッキング

2の二番目のケースは何度かあります。裁判官が悩みに悩んでも判決が書けなかったのでしょうか。判決言渡し期日を2回も変更して,当事者から担当書記官がこっぴどく文句を言われていたことがありました。
最後のケースは,いつミスに気づくか(指定期日の前日とか)によって,とんでもないミスになってしまうこともあります。

3(当事者の事情による期日変更)
〇 裁判外で当事者が話し合い,もうすぐ和解ができそうなので,裁判期日を変更した。
〇 代理人弁護士の期日忘却,寝坊による遅刻

3の二番目のケースは,裁判所よりも,代理人と当事者本人の今後の関係の方が心配になります。

やはり,裁判所の事情で期日変更をするのは格好良くないですね。
なので,普通の風邪ぐらいの病気であれば,裁判官は頑張って登庁してくれます。高熱のため,休廷して途中で嘔吐したなんて話も聞いたことがあります・・・。

なお,期日変更をすると,事務作業が一番大変なのは書記官です。裁判所・原告・被告の三者の日程調整をし,決裁をもらう必要がでてきますので,何件も対象事件があると非常に手間がかかります。

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