あるニュース番組で,コメンテーターの一人が,「前例踏襲する官僚が資料を捨てるはずがない。」と発言していました。
官僚に限らず,公務員は,多かれ少なかれ事務手続において前例踏襲することはあるのではないでしょうか。裁判所書記官ももちろん同様です。
前例踏襲は,以前からずっとそうやり続けている結果,誰がやっても同じ内容の結果になりますし,関連する他の係の方や当事者の方にも予測可能性が生まれます。事務の効率化にもなりますので,そういう意味からは決して悪いものではないです。
ただ他方で,「以前からやっているから」という理由だけで,どうしてそうやるようになったのかの理由(根拠)を考えなくなる弊害があります。
実際に,裁判所でも,前任者まで行っていた事件の受付方法が間違っていたことや,帳簿の記載方法が間違っていたことなど少なくありませんでした。
ずっとこうやっていたと言われると,自分のところで変えるのが不安になるんですよね・・・だったら色々考えずに今までどおりやればいいやと。
前例踏襲で続けている事務処理については,今一度,そのようにやる理由や根拠を確認することが重要です。