以前に,競売事件における心理的瑕疵のある物件(いわゆる事故物件)ついて書いたので,ついでにもう少し。
本来的な事故物件とは少し違うのですが,競売で落札したあとに物件を見て唖然とするケースはいくつかありましたので,そんな物件の話をしてみます。
物件の所有者が,飼育していた動物を放置したまま引っ越し(や失踪)をしてしまい,競売物件の中で猫やウサギが大繁殖していたケースがありました。
そういう物件は,部屋の中も相当汚れていることがほとんどなので,状況を知らないで当該物件に手を出した場合は大変なことになると思います。
10年以上前の,今よりずっと競売事件が多い時代には,実際に競売で落札されるまでに申立てから1年以上かかることはざらにありました。
そのため,一度執行官や評価人が現地調査に行ったときに問題がなかったとしても,裁判所の調査後に物件内部の状況が変わってしまうこともままあったものと思います。
なお,補足しておくと,競売中だからといって,当該不動産の物理上の管理・保存義務が裁判所にあるわけではありません。また,執行官や評価人が再度現地に行き調査(再現況調査・再評価)をするのは,例外的な場合をのぞき調査するタイミングが決まっています。
別件では,物件の所有者が,競売にかけられた腹いせに,退去する際に物件の一部を壊していくケースもいくつかありました。
競売で落札した人が見に行ったら,玄関ドアがなくなっていたとか,台所のシンクがボコボコに壊されていたなどということもありました。
このようなケースの場合,落札した人は,自分の所有物を壊されたのですから,当然,損害賠償請求はできるのですが,気分的にはがっくりきますよね。