裁判所書記官の日常56「裁判所の警備2」

以前に,裁判所は重要な国家機関の割に警備体制が緩いということを書きました。
一定の大規模庁には,入口に金属探知機が設置されていたり専属の守衛(警備員)さんがいたりします。が,地方の小規模庁,こと独立簡裁などとなると警備体制は皆無に等しいです。
そんな所で,危険物を持ちこんだり暴力的な人が一人でも入ってきたら大騒ぎになります。

随分昔の話ですが,裁判所に対して好戦的な態度をとる団体の,構成員の一人が被告人となっている刑事裁判がありました。
裁判当日には,団体の構成員の方が沢山集まることが予想されたため,民事部の職員も駆り出され大がかりな警備計画が立てられました。

とは言っても,裁判所の一般職員は警備の実際については素人,いくら数がいても烏合の衆です。
警備計画に基づいて人員の配置や手順が説明されましたが,何かあったときは「逃げる」のが基本です。
そして,責任者から続けてこう指示がありました。「万が一,暴力を振るわれた場合は,いつ,誰に,どこを,どのように殴られたかなどを覚えておくように。」と・・・。

ちなみにこの件は,結局,裁判所の職員が,烏合の衆なりに圧倒的な数の職員を動員して無事乗り切りました。

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