裁判所書記官は、口頭弁論期日ごとに調書を作成しなければなりません。
調書の記載は、法律等により必ず記載しなければならない事項もありますが、今までの実務の積み重ねも相まって、講義案(=書記官の公式実務マニュアル)により、記載事項や記載方法が細かい部分まで定まっています。
ただし、証人尋問調書などをのぞき、当事者の方が調書を閲覧(確認)されることは皆無なので、調書は、手続が適正に行われていることの証左としての役割が大半なのでしょう。
そもそも弁論調書は、実施された手続を要約記載したものなので、見返したところであまり情報はないですからね・・・。
そんな調書であっても、勿論、裁判所書記官は間違いのないようにきちんと作成していきます。
例えば、通常3人の裁判官で構成する合議体の裁判の場合、同じ裁判官の発言(命令・決定)であっても、調書に記載するときは、どういう権限に基づいて発言したのか(=裁判長としてなのか、受命裁判官なのか、はたまた裁判体(裁判所)なのか)を特定して記載しなければなりません。
こういうところは、当事者の方は意に介さないところだと思います。
「弁論更新」などという書記官的には超重要な記載事項もあります。
弁論更新手続は、これを忘れると裁判がやり直しになることもある重要な手続ですが、実際の裁判では、裁判官が「弁論更新します。」と一言だけ発言し、調書には「弁論更新」と記載するだけです。
書記官的には、絶対に忘れてはいけない手続・記載ですが、これも当事者の方にとっては、何ら気にしていないところでしょうね。