遺言書の開封

以前に,丁寧な相談の話を書いて,思い出したことをもう一つ。

親族が亡くなり,封のされた遺言書を持参して来所された相談者の方がいました。
検認手続の説明をしようと,まずは,封がされている遺言書は開封してはいけない旨を伝えたところ,「やっぱりそうですよね!」との答え。

事情を聴いてみたところ,当事務所に相談に来る前に,知り合いの弁護士に相談をしたとのこと。
すると,「では,遺言書を見てみましょう。」といきなり封を開けようとしたので,直感的にそれはまずいのではないかと思い,開けるのはやめてもらったとのことでした。

法律家であれば,裁判所の検認手続をせずに封のされた遺言書を開封すれば,法律上は過料の制裁があることは当然知っています。
また,実務経験があれば,実務上は(法律を知らない等の理由で)開封してしまうことも少なくないことや,その際の過料の実際の運用なども知っていると思います。
さらに,遺言書の内容が判明している方が,その後の手続の流れが想定できるので,事務処理がしやすいという判断がなされることもあると思います。

そういった色々なことを考慮のうえで,前述の「では,遺言書を見てみましょう。」に繋がったのかもしれませんが,実際のところ,相談者の方が覚えていることは「遺言書は開けてよい。」という部分だけでした。

今回の件は,相談者からしか事情を聴いていないので,本当のところはわかりませんが,やはり,自分にとっては当たり前の話でも,順を追って丁寧に説明していくことの大切さを考えさせられる出来事でした。

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