先日,自分が書類作成に携わった遺言書の検認手続が,無事終わりましたと連絡を受けた件がありました。
いざ遺言書を見ると「相続させる」の文言がありません。法律の専門家が携わっていれば,相続財産を誰々に「差し上げる」「譲る」「渡す」等の文言は使用しないことは鉄則ですが,今回はまさにそのパターンでした。
一般の方からすれば,相続財産が誰の物になるのかが重要なのであって,遺言書の文言はあまり気にされません。どっちだっていいでしょという感覚です。
確かにそうなんですが,司法書士としては,さてどういう手続の流れ,登記申請になるだろうかと考えることになります。
今回の遺言書は,明らかに遺贈(贈与)する趣旨の文言ではなく,一応念のため管轄法務局に照会をしましたが,やはり「相続」を原因とする登記でよいとのことでした。
そもそも,一般の方が「相続」と「遺贈」の差異をどれだけ意識しているかは微妙なところなので,これで「相続」を原因とする登記ができないということになれば,今後の手続の流れの説明を理解してもらうのは結構大変だったかなと思いました。