相続放棄の相談(依頼)に来られる方は,もう手続きをするつもりでいる方が多く,放棄すること自体を検討中という方は少ない気がします。
相続放棄をする理由としては,もともと被相続人の相続財産を期待していたわけではなく,かつ面倒なことにはあまり関わりたくないので,という理由が多いようです。
そのため,被相続人が亡くなってから3か月以内に手続きが出来ることがほとんどで,相続放棄の申述(申立て)期間が問題になる相談事例は多くはありません。
ただ,こんな事例もありました。
「被相続人の方はいつ亡くなったのですか?」
「わかりません。」
「・・・亡くなったときの住所はどこですか?」
「わかりません。」
「・・・亡くなったことはどうやって知ったのですか?」
「警察署から連絡がありました。自宅で亡くなっていたと。」
「・・・・・・」
遠い親戚でなくても,親兄弟であってもしばらく音信不通ということは,ままあることです。ま,関わりたくないという意味では,この場合も放棄の理由は同じです。
ただ,話を聞いたときには,背景事情を勝手に想像して色々考えてしまいました。
その他の詳細な事情を聴いたうえで正式な申立て書面にしてしまうと,他の事例と形式的な差異はあまり出てきませんでしたが,私の記憶に残る案件になりました。